ソフトウェア開発は、様々なお客様と共同で作業をすることになります。一般社団法人JSIEとの共同作業は、とても楽しいものでした。JSIEは、アメリカと日本に拠点を置く非営利団体です。対象となるプログラムを通じて、女性、マイノリティ、若者がその可能性を最大限に発揮できるよう支援することを目的としています。家庭でも学校でも職場でも、このようなマイノリティの人たちは日常的に疎外され、過小評価されることがあります。このことは、彼らの能力や生産性のレベルに直接影響します。
JSIEは、社会的に疎外されたコミュニティを向上させることで、社会の格差を解消することを目指しています。そのために、ネットワーキングの機会、メンタリングサービス、スキルアップのためのワークショップなどを行っています。世界的には、同じようなビジョンを持つ他の組織と協力して活動しています。地域的には、地域の問題を解決するために焦点を絞ったプログラムが設計されています。
また、JSIEは、地域のイノベーターやオピニオンリーダーが集う場としても機能しています。様々なバックグラウンドを持つ人々が集まり、共に分かち合い、学び、ブレインストーミングを行います。このようにして、彼らは社会問題に取り組み、永続的な変化を生み出すための革新的なソリューションを見つけ出すことができるのです。
このようにして、ガーディアンのアプリは誕生しました。
JSIEのメンバーは、社会問題に対して行動的な考え方を持つ傾向があります。その一人が、日本で働く小学校の先生でした。彼女は、子どもたちへのいじめやハラスメントがこの国では蔓延していると認識していました。最も蔓延している事例として学校でのいじめや、インターネット上での嫌がらせなどが挙げられました。JSIEはこの問題を根本から解決しようと考えました。そのためには、まず、ある学校や地域で、どのような子どもたちが、どのくらいの割合でいじめや嫌がらせを受けているのかを把握する必要があると考えました。そこでJSIEは、子どもが学校や家庭などでハラスメントを受けているかどうかを調査できるアンケートを作成しました。このアンケートを配布するには、ソフトウェア アプリケーションが必要で、それを可能としてくれるソフトウェア開発会社が必要でした。
そうして出会ったのがディアホールドでした。当社はボストンに拠点を置くソフトウェア開発およびデータ分析の会社です。JSIEは、当社の豊富なプロジェクト ポートフォリオ、特にモバイルアプリケーションやウェブサイトアプリケーション開発に関する専門知識と経験に感銘を受け関心を寄せてくれました。彼らは、当社を革新的なパートナーとして捉えてくれ、そして2019年からディアホールドのガーディアンへの取り組みが始まりました。
ディアホールドが担当したのは、このアンケートを使いやすいようにデジタル化することでした。まずは、シンプルな論理的フレームワークを作り、それを支えるアルゴリズムを作成しました。当社が使用した技術はGrailsとVueJSです。アンケートをシンプルでわかりやすく表示するために、魅力あるユーザー インターフェースを設計しました。ビジュアルやテキストは幅広い年齢層の子どもたちが理解しやすいように設計する必要がありました。そして、その評価結果をアプリが集計します。最後に、JSIEのスコアリングシステムに基づいて特定の学校や地域におけるハラスメントのレベルを予測し分析します。
このプロジェクトは、重要な機密データを扱うものでした。主な課題は、アプリケーションに許可やプライバシーに関するコンプライアンスを組み込むことでした。ディアホールドのチームは、私どもの製品が安全とセキュリティの基準を満たしていることを確認するために、徹底的な調査を行いました。データの機密性を考慮して、評価を安全に保存するためにAWSクラウド サービスを使用しました。学校で行われた評価については、養護教諭のみが記録にアクセスできるようにしました。また、最小限の誤差で済むようにする必要がありました。最終的な分析結果が正確であると確信できるまで、徹底的にテストを行いました。
もうひとつの課題は、言葉の壁の問題でした。 お客様とのオンラインミーティングやメールでのやりとりは全て英語で行いました。しかし、アプリケーションには英語と日本語の両言語の質問が必要でした。当社の製品が日本市場にアクセスし易いことが重要でした。そのために、ディアホールドの日本法人と連絡を取り、翻訳の一部を依頼しました。
最後に、子ども向けの設計は、さらなる挑戦でした。JSIEチームと協力して理解しやすい言葉やフレーズ、サインや顔文字を使用しました。子供向けのバイリンガル アプリケーションを作ることは、私どもにとって初めての試みでしたが、成功させることができたチャレンジであり嬉しく思います。
JSIEは、日本の学校でガーディアンのアプリを使用する先行的試みを実施しました。 この試みは成功し、多くの好意的な意見が寄せられました。評価スタイルや配信方法が好評だったため、このプロジェクトはさらに多くの学校に拡大されました。また、アプリケーションにさらなる機能を追加したいという要望もありました。
このプロジェクトは、私どもにとって特別なものでした。それは、私どもが心から尊敬する協力者を紹介してくれたからです。女性、若者、マイノリティへの支援を重視する彼らの姿勢に共鳴したのです。ディアホールドは、テクノロジー分野で十分な地位を得ていないコミュニティを支援することにも力を入れています。私どもは、アメリカでもネパールの子会社でも、社会から疎外されたグループを支援することに常に情熱を注いできました。
JSIEと仕事をしたことで、非営利団体の活動に対する賞賛や尊敬の念がさらに高まりました。JSIEのような組織とより多くのソフトウェア開発を行い、しかもディスカウント価格で提供することを目指しています。